不登校の子供は「放置」でも「強制」でもなく、「働きかけ」をしよう。

福井県敦賀市のフリースクール『ワクノソト☆』の三國雅洋です。

不登校の生徒に対しては「そっと待つべし」という主張と、「無理にでも行かせるべき」という主張があります。

「そっとしておくべき」と主張する人は「現在」を重視しています。現在の子供の心身の状況を重視しています。一方で「無理にでも行かせるべき」という人は、「将来」を重視しています。将来の子供の進学、就職などを心配されています。

この「放置」VS「強制」の論争は、教育界では至るところで生じるものです。もっともわかりやすいのが受験を控えた子供が勉強しないときに、この話が出てきます。

この「放置」と「強制」のどちらがよいかについて、悩む必要はありません。どちらもするべきではないからです。

放置でも強制でもなく、働きかけをしましょう。

まずはカウンセリング、その次にコーチングを行うが、基本です。

【1】まずカウンセリングを行う

子供が心身の不調によって不登校となっている場合は、カウンセリングを行いましょう。心身の不調を癒すことを目的とします。いじめ・嫌がらせによって傷ついている場合などです。

スクールカウンセラーの助力を得るとよいでしょう。

家庭教師や塾講師をするとき、生徒の心身が傷ついているときは、私はまずカウンセリングモードで生徒に対応をします。自分がリラックスして、生徒の視点で物事をみるように心がけます。生徒の体験した事実を生徒の立場で追体験し、生徒の気持ちを共有することを目指します。生徒にとっての現実を把握するのです。「学校の先生が嫌いだ」と言えば、そう思った原因を尋ね、気持ちを共有します。決して「そんなこと言ってはいけない」とは言いません。まずは生徒の心の傷を癒すことを目的としているからです。

【2】次に、コーチングを行う

子供の心身の不調が癒されてきたり、もともと心身の不調が理由ではないときは、コーチングを行います。

「心身の不調が原因ではない」という判断はスクールカウンセラー等の判断によるのが確実でしょう。ただ、私の20年以上の経験則とカウンセリング経験から言えば、キーワードに過剰反応しなければコーチングを行っても大丈夫です。たとえば私が受け持っていた生徒は「勉強」や「英語」という言葉だけで気分が落ち込んでいました。動けなくなるのです。パワハラ被害者の例で言えば「転職」という言葉を聞いただけで泣きだした人もいます。そのようなネガティブな過剰反応がある場合はカウンセリングを継続します。これがなくなったら、コーチングを行いましょう。

特に心身の不調が理由でなくて、子供が学校に行かない場合、それは学校に行く理由が弱いからです。つまり、モチベーションが湧かないのです。

子供自身にとって学校にいく理由が強ければ、子供は学校に行くようになります。勉強もするようになります。「勉強」、「英語」という言葉だけで気分を落ち込んでいた生徒も、この働きかけによって勉強をするようになりました。

【3】モチベーションが湧かない理由

モチベーションが上がらないのは「現状維持」がゴールとなっているからです。

現状を維持してもゴール達成できるなら、人は現状維持をしようとします。現状維持がもっともエネルギー消費が少ないからです。たとえば、合計350点で志望校に合格できて、今現在330点ぐらいなら、追加で勉強するようなことはしません。現状維持をしようとします。

積極的に行動をし続ける人は全員、高いゴールを掲げています。私は昔、「明日香ちゃんねる」というYOTUBERにインタビューを申し込んだことがありました。申し込んだ当時は登録者は1,000人未満でしたが、当時からその方は100万人を目指していました。現在は登録者が50万人を超えています。

コーチングでは「現状の外側にゴール設定をする」と言いますが、現状維持では達成できないほど高いゴールだからこそ、モチベーションが湧いてくるのです。

子供にモチベーションがみられない場合、現状維持がゴールとなっている可能性があります。もしくは、現状維持でも達成できることがゴールとして設定されています。

ですから、まずはゴール設定が必要です。

【4】ゴール設定を行おう

コーチングの働きかけでは、まずゴール設定を行います。たとえば「将来、なりたい職業は何?」であったり、「志望校はどこ?」といった質問をします。

ゴールを尋ねる質問をしたときに過剰反応がみられるときは、カウンセリングモードに戻りましょう。過剰反応は、不登校に劣等感を持っていたり、将来に不安を持っているなどがある証拠だからです。

ゴールについて質問をして、何も返事がなくても問い詰める必要はありません。質問をされることで、生徒は自然と考えるようになります。本人の中で、ゴールを明確にしようとし始めます。1週間に1回ほど質問するぐらいでちょうどよいです。

しかし、あえて言葉にしなくても、観察を続ければ本人のゴールは見えてくるはずです。本人の言葉の端々にゴールは現れています。子供の言動をよく観察して、そこからゴールを推測してみましょう。

【5 】セルフイメージを高める

ゴール確認を行いながら、同時並列で本人のセルフイメージを高める働きかけを行っていきます。

ゴールがあっても、本人が「私には無理だ」と思っているなら、行動はしないからです。

モチベーションは現状維持では達成できないゴールがあって、「私はそのゴールを達成できる」と思えるときに、湧いてきます。今のままでは達成できないけれど、私なら達成できると思えるからこそ、行動ができるのです。

そのため、現状の外側にゴールを設定したら、次にセルフイメージを高める働きかけをしていきます。

これは「あなたならできる」と言い続けるだけです。ですが、私は「さすが」という言葉を使うようにしています。たとえば将来ラッパーになりたいといっている生徒がラップについて語りだしたら、「さすが詳しいね」と言います。その本人がゴールに近づいたら「さすが」と言うのです。

【6】働きかけは本人に気付かれないように行う

子供に働きかけをしていると気づかれないほうが、効果が出ます。

そのため、大袈裟な働きかけはお勧めしません。むしろ、小さい働きかけをしましょう。

働きかけの1つ1つが小さければ、もちろん効果ができるのも遅くなります。

ですから、数多くの働きかけをするようにするのです。直接的にゴールを質問するだけではなくて、あなた自身のゴールを話してみたりしましょう。そして、あなた自身がそのゴールに向かって行動を行いましょう。高いゴールを掲げて動いている人を話題にしたりしてみましょう。

セルフイメージを高める働きかけも同様です。言葉を使うだけではなく、表情、しぐさなどを使って、相手のセルフイメージを高めましょう。”人を馬鹿にしたような態度”があるように、「あなたならできる」と伝えるような態度もあります。

小さく、そして多くの働きかけを行いましょう。

【6】「放置」や「強制」より「働きかけ」をしよう

子供の心身の状況によっては「そっと見守る」ことが大切です。

しかし、心身の不調がないような場合にそっと見守るだけでは、進展はありません。

子供に心身の不調が見られるときに、強制をするのもお勧めしません。

強制をすれば反発を受けます。心理学では心理的リアクタンスと呼ばれる心理現象です。あなたが無理に学校に行かせようとすればするほど、子供は学校に行きたくなくなります。人間心理について勉強をしたことがない人ほど強制したがるので注意です。私は人間心理については14歳から勉強をしつづけて、そして家庭教師や塾講師、パワハラ問題などの中で結果も出してきています。何の知識も経験も責任もない一般人のブログには騙されないでください。

まずは心身の不調を癒すことを目指しましょう。そこから今度はモチベーションを高める働きかけを行っていきます。この順序が大切です。まずはカウンセリング、次にコーチングです。

なお、モチベーションを高めるときも強制は必要ありません。つまり、どんなときも強制は不要です。

大切なのはその状況に合わせた適切な働きかけです。

状況をみながら、適切に働きかけを行っていきましょう。

カラフル ~ふ登校カフェ~(親の会) &ワクノソト☆ 福井県敦賀市

福井県敦賀市で活動する不登校の親の会(誰でも参加できるお話会など開催)&学校教育の枠(ワク)の外に出てみよう!福井県敦賀市にあるフリースクール『ワクノソト☆』のホームページです。ワクノソトは休校中です。

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