反復練習の目的は、定着ではない。

フリースクール『ワクノソト☆』の三國雅洋です。

今回は「反復練習の目的は、知識・技術を定着させることではない』という話をします。

【1】反復練習では、知識・技術は定着しない

まず知識として知っておいてほしいことがあります。

それは「反復練習では、知識・技術は定着しない」という事実です。

反復練習は、想起練習にならないからです。

記憶は、想起(思い出す)ことによって強化されます。反対に言えば、思い出す練習をしないかぎり、記憶は強化されないのです。

これは『脳が認める勉強法』、『使える脳の鍛え方』などの書籍でも紹介されています。

どちらも科学的知見を紹介する書籍で、さまざまな論文が紹介されています。

【2】反復練習の目的は「自己効力感」を高めること

反復練習では、知識・技術が定着しません。また、応用力も身に付きません。

しかし、それでも多くの人が反復練習を好むのは「自己効力感」が高まるからです。

自己効力感というのは、簡単に言えば「私にはできる」という感覚です。

この自己効力感を高める要因は、心理学的には次の4つあると言われます。

1 成功体験

2 代理経験

3 言語的説得

4 生理的・情動的喚起

このうち、最も自己効力感を高めやすい要因が「成功体験」です。

反復練習をすることで成功体験が増えます。

この成功体験を通じて、自己効力感が高まるのです。つまり、反復練習を通して「私にはできる」という感覚が付くようになります。

【3】知識・技術を定着させる

反復練習によって自己効力感を高めることができます。しかし、知識・技術は定着していません。つまりは「わかったつもり」「できたつもり」の状態です。

この状態から、本当に知識・技術が定着するには「変化を取り入れた練習」が必要となります。問題を解くために必要な知識・技術を思い出して、適用する練習が必要となります。たとえば数学なら、教科書にある「まとめ問題」「章末問題」などの問題を解くことが大切です。

《「一つのことを繰り返し練習させないようにすれば、人を絶えず調整せざるを得なくなる。それにより、変化全般に対応する器用さが身につき、ひいては個々の技術に磨きがかかる」》

《インターリーブについて、 明らかになったことをまとめよう。複数の項目、スキル、理念を混ぜた練習(勉強)をある程度の期間行うと、個々の項目、スキル、理念の違いがわかるようになるだけでなく、個々の特徴をより鮮明につかめるようになる》

((『脳が認める勉強法』より引用)

【4】反復練習と「変化を取り入れた練習」

大切なことは、反復練習と「変化を取り入れた練習」を適切に使い分けることです。

「私にはできる」という感覚を持ちたいときは、反復練習をしましょう。

「私にはできる」という感覚を、役立つ知識・技術に高めたいときは「変化を取り入れた練習」をしましょう。

苦手意識を克服したいなら、反復練習をし、克服した苦手意識を、本番で役立てたいなら「変化を取り入れた練習」をしてみましょう。九九を丸暗記できたと思ったら、今度は車のナンバープレートを見ながら、九九を答える練習をしましょう。分野別問題ができるようなったら、総合問題に取り掛かりましょう。ランダムさを取り入れることが大切です。

このように「反復練習」と「変化を取り入れた練習」を使い分けるのです。

大切なことは、反復練習では知識・技術は定着しないということです。このことを忘れないでください。このことをほとんどの人が知りません。学校の先生も、塾の先生も知りません。

反復練習は、自己効力感を高めるためにするものです。知識・技術の定着のためにするものではありません。

知識・技術を定着させるには「変化を取り入れた練習」が必要となります。

反復練習で自己効力感を高めて「私にはできる」と思ったら、「変化を取り入れた練習」に取り掛かりましょう。分野別問題の反復練習を止めて、総合問題に取り掛かりましょう。

総合問題でたくさん間違えて自信を失ったら、また反復練習に取り掛かるんです。こうやって反復練習と「変化を取り入れた練習」を交互に繰り返しましょう。そうするうちに、本当に知識・技術が身に着きますよ。

反復練習と「変化を取り入れた練習」の使い分けを、普段から意識してくださいね。

カラフル ~ふ登校カフェ~(親の会) &ワクノソト☆ 福井県敦賀市

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