フリースクール『ワクノソト☆』の三國雅洋です。
不登校になると保護者が不安になるのが、勉強についてです。
一般的に、勉強は学歴と繋がり、学歴は職業と繋がります。
そのため、どうしても学業面が不安になってしまうのです。
その不安を解消するために、塾や家庭教師を利用される方もいらっしゃいます。
しかし、それでも、成績が上がるとは限りません。
学習の基本的な仕組みを知らない教師もたくさんいるからです。
勉強で大切なことは、「覚える」、「わかる」、「できる」を増やすことです。
— フリースクール ワクノソト☆(福井県敦賀市) (@WakunosotoAltsc) June 17, 2018
たしかに自分に足りないことを知ることも大切ですが、その足りないことを埋めるには、そのための素材が必要となります。
その素材を増やすことをせずに、ただただ何が足りないかを知っても、ただ自信をなくすだけです。
成績が上がるためには、ある程度の時間が必要となります。
なぜなら、「覚える」、「わかる」、「できる」を増やしていく必要があるからです。
分数の足し算ができないまま、中学生になる生徒がいます。
平安時代と、江戸時代の区別がつかないまま中学生になる生徒がいます。
小学4年生の漢字が書けないまま、中学生になる生徒がいます。
この状態では、中学生の授業内容を理解するのはとても困難です。
私達は、自分達の知識・技術を用いて、新しい知識・技術を身に付けていきます。「覚える」が1つ増えることで、新しいことを「覚える」ことができるのです。たとえば、私達はtyphoon(台風)という意味の単語をほぼ一発で覚えることができますが、それは台風という言葉を知っているからです。1つ知識・技術を身に付けることで、新しいことを身に付けやすくなります。
いわゆる勉強ができる子は、もともと持っている知識・技術が多いから、勉強で困ることがないのです。心理学では精緻化(せいちか)と呼びますが、すでに持っている知識・技術と綿密に結び付けられるほど、知識・技術は身に付けやすいのです。
つまり、私達がするべきことは「覚える」、「わかる」、「できる」が1つでも増えるようにすることです。1つでも多くの知識・技術が身につくようにすることです。
もちろん、自分に不足した知識・技術を知ることは重要です。
自分の知識・技術を確かめるために、テストは利用できます。
しかし、自分に不足しているものを知るだけでも足りません。
自分に足りないものを知ったからといって、それを埋められるようになるわけではないからです。
自分が持っている知識・技術では足りないと分かったら、やるべきことがあります。
それは必要な知識・技術を増やすことです。
分数の計算ができないなら、分数の計算に戻って復習・練習をしましょう。
小学4年生の漢字が読めない・書けないと分かったら、そこまで戻って復習・練習するのです。
そして、これは学校に行かないときこそ、やりやすいものです。
より正確に言えば、学校に行っていると、このような復習・練習をすることができません。
学校の授業に追いつこうとすることに、時間を取られるからです。
学校に行っているからと言って、勉強ができるようになるわけではありません。
むしろ、授業で前提となるような知識・技術が身についていない状態で授業を受け続けると、自己効力感が下がるためマイナスに働きます。
反対に、学校に行かなくても、知識・技術を着実に積み上げていけば、勉強で困ることはありません。
勉強において大切なことは、学校に行くことでも、塾や家庭教師をつけることでもありません。現状の知識・技術の網の中に、新しい知識・技術を組み込んでいくことです。現状の授業内容とは無関係に、適切なレベルに戻って復習・練習をすることです。
それをせずに現状の授業内容に追いつこうとしても、結局は何も身につかないで終わります。
学校の授業に出なくてもよいのというのは、勉強をする上では、とても恵まれた環境であると言えます。自分にとって必要な知識・技術を、自分のペースで積み上げることができるからです。
言い換えれば、中学1年生だからとって、中学1年生の勉強をする必要などありません。自分が小学4年生の教科書が適切なレベルに感じるなら、そこから始めるほうがよいのです。反対に、自分にとって中学2年生のほうが適切なレベルに感じるなら、そこを予習するほうがよいのです。
自分の年齢や学年と、自分が取り組むべきレベルは無関係です。あなたにとって適切なレベルのことを学び続けましょう。そうすれば、3ヶ月もしないうちに、学校に行っている児童・生徒を追い抜いてしまっているでしょう。
自分にとって適切であることが、何より大切なことです。学問に年齢は関係ありません。
自分が最も成長できるレベルのものに取り組み続けましょう。
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