ワクノソトの三國雅洋です。
今回は、子供のやる気を引き出す簡単な方法について、お話しします。
私は18歳から家庭教師を始め、20年以上に渡って教育に携わっています。
カウンセリングやコーチングを取り入れて、やる気を引き出す方法を研究してきました。
今回は、その経験と研究の中で見つけた3つのステップをお伝えします。
【1】子供のやる気を引き出す3つのステップ
子供のやる気を引き出すには、3つのステップがあります。
(1)やる気を奪う言動をしないこと
(2)適切なゴール設定を促すこと
(3)自己効力感を高める働きかけをすること
この3つのステップを経ることで、子供のやる気を引き出しやすくなります。
【2】やる気を奪う言動をしないこと
最初のステップは、やる気を奪う言動をしないことです。
心理学で「心理的リアクタンス」と呼ばれる現象があります。「自分の選択的自由が外部から脅かされた時に生じる、自由を回復しようとする反発作用」と説明されるようです。簡単に言うと「強制されると、やりたくなくなる」という現象です。
勉強に対して熱心な保護者ほど、子供に対して「勉強しなさい」と言います。これを言うことで、子供の中では心理的リアクタンスが生じて、勉強したくなくなるのです。
子供にやる気を引き出したいなら、それを強制してはいけません。
強制すること以外にも、してはいけない言動があります。「〇〇なんて社会では役に立たない」ということです。たとえば、「勉強なんて社会では役に立たない」という保護者がいます。これでは、勉強のやる気がそがれるのは当然のことです。
やる気を引き出したいのではあれば、強制したり、価値がないと言ったりすることは、慎みましょう。
自分の言動が、子供のやる気を削いでいないかを、まずは確認しましょう。
そして、やる気を削いでいる可能性があることを減らしてください。
【3】適切なゴール設定を促す
やる気を奪う言動をやめたら、次に適切なゴール設定を促します。
適切なゴール設定というのは、次の2つの条件を満たすものです。
(1)現状維持では達成不可能なゴールであること
(2)本人にとって重要性が高いゴールであること
一般的には、現実的に目標設定をするように言われます。たとえば、現在の偏差値で合格できる高校を、志望校とするように言われたりします。
しかし、これはゴール設定としては間違っています。
現状維持でも達成可能なゴールであれば、長期的な努力は必要ないからです。現在の偏差値で合格可能な高校を志望校にしたら、特別な努力をするはずがありません。
やる気を引き出したいのではあれば、現状維持では達成不可能なゴール設定を促しましょう。子どもの将来の夢を聞いて、現実的なものであったら「それが本当に、あなたのやりたいことなの」と尋ねてみてください。尋ねることで、本人は自然と考え始めます。
もちろん、そのゴール達成のために、現実的な中間ゴールを設定することは問題ありません。ゴール達成のために5教科で100点アップが必要で、数学で60点を80点にするという目標設定は問題ありません。最終ゴールが現状維持では達成できないものにする必要があるのです。
次に、そのゴールが本人にとって重要性の高いものである必要があります。たとえば、本人がOfficial髭男dismの大ファンで、志望校に合格したらライブ参戦すると決めていたら、それだけで勉強のやる気が出てきます。
本人にとって重要であることが、ポイントです。保護者にとって重要であるかどうかは関係ありません。
本人にとって重要性が高ければ、自然とやる気は出てきます。
そして、それが現状維持では達成できないのであれば、行動する必要性が出てきます。
だからこそ、行動を起こすようになるのです。
【4】自己効力感を高める働きかけをする
適切なゴール設定を促すことができても、本人がその達成を無理だと思っていたらやる気は起きません。
達成可能だと本人が思えることが、重要なのです。
ですから、やる気を引き出したいなら、自己効力感を高める働きかけが必要となります。
具体的には2つのことをします。1つは「さすが」と「もっと」を伝えること。
もう1つは「おしい」と伝えることです。
何かがうまく行ったときは「さすが」と伝えましょう。その上で必要であれば「あなたならもっとできる」と伝えてください。あなたにはゴールを設定する能力があり、あなたならもっともっとできると伝えていくのです。
何かがうまくいかなかったときは、「おしい」と伝えましょう。私は「ナイストライ」という言葉も使っています。失敗を責めるのではなく、もう少しで達成できそうだったこと、もしくは挑戦したこと自体を認めるのです。
失敗したときに責めても意味がありません。それは本人のやる気を奪う言動であって、むしろマイナスに働きます。
最初にお伝えしたとおり、本人のやる気を奪わないことが重要です。
ネガティブな出来事の影響は、ポジティブな出来事の7倍強いという研究結果もあります。本人のやる気を削ぐ言動をするなら、その7倍以上のやる気を引き出すはたらきかけが必要となります。
【5】子供のやる気を引き出す
子供のやる気を引き出すには、何よりもやる気を奪う言動を減らすことが大事です。
それができた上で、やる気を引き出す働きかけを行っていきます。
具体的には適切なゴール設定を促し、そのゴール達成をする能力があることを本人に伝えていくことです。ゴールに近づくたびに「さすが」と伝え、前進できなかったときは「おしい」と伝えましょう。本人に「自分にはゴールを達成する能力がある」と伝え続けてください。
子供のやる気を引き出すには、上記の3つのステップで十分です。
難しいテクニックは必要ありません。子どものやる気を奪う言動を減らし、子供のやりたいことを一緒に探して、「あなたにはできる」と言い続けてあげるだけです。決して難しいことではありません。
子供のやる気を引き出したいなら、ぜひ上記のシンプルな3つのステップを使ってみてください。
何度も繰り返しとなりますが、子供のやる気を奪う言動をやめることがステップ1です。言いたくなる気持ちは分かりますが、言わないように気を付けましょう。
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