フリースクール『ワクノソト☆』の三國雅洋です。
今回は「記憶するために、色々な方法を試そう」という話をします。
学校では、記憶するための方法というのは教えてくれません。
ですから各自が自分なりの方法で記憶をしています。
ただそれは必ずしも科学的に良い方法ではないんですね。
今回は、科学的に記憶によいとされる方法を、いろいろとお伝えします。
同時に実行できるものは、全部同時に実行に移してみてください。
【1】記憶するための方法
記憶するための方法には、次のようなものがあります。
- 事前テストをする
- 記憶する範囲・量を絞り込む
- 記憶する目的を明確にする
- 関連情報を集める
- 論理関係を明確にする
- 思い出す手がかり(トリガー)を作る
- 感覚記憶をする
- 短期記憶をする
- 事後テストをする
- 図や絵にする
- マンガにする
- 記憶の仕方を教えてもらう(ゴロ合わせなど)
- 翌日以降に再テストをする
まずは、記憶に入る前にテストをしましょう。
これは心理学では「事前テスト」と呼ばれます。この「事前テスト」を実行することによって、記憶できる量が増えるというデータがあります。
またこの事前テストをすることによって、記憶する範囲や量を絞り込むことができます。すでに覚えているものを、覚えるための時間を取る必要はありませんね。事前テストによって、記憶する必要となるものが明確になるのです。
記憶するための目的を明確にすることも大切です。目的を明確にすることによって、情報整理の方法が決まります。反対に言うと、目的が違えば情報整理の方法が変わってきます。歴史で出来事の順番を覚えることが目的ならば、それぞれの出来事の因果関係が重要となります。歴史の文化史を覚えることが目的なら、人物や作品の特徴に注目することが重要です。目的が変わることで、注目すべきことが変わるということです。
記憶するための目的を明確にしたら、関連情報を集めます。ある単語の意味を覚えたいときは、辞書を開くのも1つの手です。反対の意味の単語も同時に覚えるようにと先生が言うこともあると思いますが、それもよい手です。中学生が苦手とする単語の一つでcarry(運ぶ)というものがありますが、これはキャリーバッグを知っていると覚えやすくなります。この関連情報を集めることを心理学では精緻化と呼び、精緻化すればするほど記憶しやすくなると言われます。
関連情報を収集した後、その関連情報に論理関係があるなら、論理関係を明確にしておきましょう。「長方形の面積の公式」と「平行四辺形の面積の公式」と「三角形の面積の公式」はそれぞれ論理関係があります。平行四辺形の端っこ部分を切って反対側につけると、長方形になるからです。平行四辺形を対角線で半分に切ると、三角形になります。これらの論理関係を知っていると思いだす手がかりが増えますし、自分の記憶が正確かどうかの確信を持つこともできます。
関連情報を集めて、論理関係も確認した後は、思い出すための手がかりを作っていきます。例えば数学では、問題文に「比例する」とあったら「y = a x」と思い出せなくてはいけません。この「比例する」という言葉と「y = a x」を結び付けておく必要があるのです。どのような「きっかけ」から、どのような内容を思い出すべきかを意識するということです。思い出すためのきっかけとなるものを「トリガー」、思い出すべき内容を「アンカー」と言います。
このトリガーとアンカーが決まったら、まずは目で見たり、聞いたり、書いたりして、一旦記憶します。これは心理学では感覚記憶と呼ばれる状態です。一旦覚えたと思ったら、次の状態に移ります。
次に感覚記憶を短期記憶に移していきます。短期記憶というのは、長期記憶に移る前の段階です。1ヶ月程度の記憶は短期記憶に入ると言われます。短期記憶に移すには、テストを行います。問題集があれば問題集を解くのが、最も効率的です。
この段階であまり記憶できていなかったら、インパクトが足りない可能性が高いです。図や絵にするなど、文字ではなくて視覚的に表現するようにしてみましょう。マンガなどを読むのもよいですね。YOUTUBEで解説動画があったら、観てみるのもよいです。面白いゴロ合わせなどがあれば、それを使うとよいでしょう。私は古語の過去助動詞「き」の活用形「せ 〇 き し しか 〇」を「迫る騎士鹿丸」と覚えました。これは友人が言っていた言葉がインパクトが強くて、一発で覚えたものです。
ここまでしても記憶できない場合は、覚えている人に覚え方を教えてもらうとよいでしょう。球の体積の公式は、4πr^3(よんぱいあーるさんじょう)ですが、これは「身の上に心配あーるさんじょう」と覚えたりもします。また、rが3乗になることは、体積の単位が立法センチメートル(cm^3)になることと関連付けておくとよいですね。記憶できている人は、その人なりの関連付けができています。その関連付けを教えてもらうとよいでしょう。こういう覚え方は、インターネットで検索しても出てくるとは思います。
ここまですれば覚えられると思いますが、覚えたとしても翌日以降に覚えているとは限りません。むしろ、翌日以降に覚えている可能性は低いです。ですから、再テストを行って記憶量を確認しておきましょう。
【2】いろいろな方法を試すことが大切
人はそれぞれ自分が好みの覚え方をします。今まで自分がしてきた通りの覚え方しか、しようとしないということです。しかしそれは、必ずしも科学的によい方法とは限りません。
記憶についての科学は、とても発展してきています。そういう科学的な方法をぜひ取り入れてください。
もちろん科学的な方法だからといって、一発で何かを記憶できるわけではありません。記憶についても魔法の方法はありません。
だから色々な方法を試してください。あなたが試してみる記憶法が多ければ多いほど、記憶は簡単になります。
一つの方法を繰り返すよりも、多くの方法を同時に試した方が記憶に残りやすいです。
出来る限り多くの方法を、同時に試していただきたいです。
これはどのような問題解決でも役立つ考え方です。1つの方法に頼るのではなくて、思いつく解決策は全部同時に並列的に実行に移してみてください。そうしたほうが、解決は早くなります。
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